物語はハッピーエンドで

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【歴史小説】「新・平家物語(吉川英治)」

★★★★

あらすじ

12世紀の初め、藤原政権の退廃は、武門の両統“源平”の擡頭をもたらした。しかし、強者は倶に天を戴かず。その争覇興亡が古典平家の世界である。『新・平家物語』も源平抗争の歴史を描くが、単なる現代訳でなく、古典のふくらんだ虚像を正し、従来無視された庶民の相(すがた)にも力点を置く

『新・平家物語』(しんへいけものがたり)は、吉川英治の歴史小説の大作。1950年から1957年まで「週刊朝日」に連載された。現行版は吉川英治歴史時代文庫全16巻。新潮文庫全20巻
題材は『平家物語』だけでなく、『保元物語』『平治物語』『義経記』『玉葉』など複数の古典をベースにしながら、より一貫した長いスパンで源平両氏や奥州藤原氏、公家などの盛衰を描いた長編作品。

諸行無常の響きがある「新・平家物語」

『祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。』
の有名なフレーズで始まる「平家物語」の長編小説です。

Wikipediaにも書いてありますが、「平家物語」を訳したようなものではなく、同時代の別の古典なども取り入れた、吉川英治独自の「平家物語」です。

この「新・平家物語」を読む前までは、イメージ的に平家というものに良いイメージは持っていませんでした。

やはり源氏の源義経が英雄的で人気があり、平清盛は頭のはげた悪役のボスで、「平家にあらずんば人にあらず」みたいな驕り高ぶったことを言ってる一族は滅ぶのもやむなし、と思っていました。

がしかし、この「新・平家物語」を読んでみますと、「平家はそんなに悪くはないよなぁ、確かに一族で権力握って驕っていたところはあったけれど」という思いや、平家側にも「平知盛(とももり)」とか「平教経(のりつね)」などの魅力的な知将・勇将がいて、後半はもう平家のほうを応援したい気持ちが強くなるのですけれど、結果はもう最初から分かっていますから…。

壇ノ浦では「諸行無常の響き」を感じ、「もののあわれ」に涙することでしょう。。。

文庫本で全16巻もある超大作であり、よほどの歴史好きでないとなかなか手を出しづらいところもありますが、現在はkindle で「全16巻合本版」が99円で売ってますし、もう少ししたら青空文庫にも出てくれるかもしれないので、手は出しやすくなりましたね。