★★★★
概要
池宮彰一郎の同名小説を、役所広司、佐藤浩市、桜庭ななみら豪華キャスト共演で映画化した時代劇。赤穂浪士として名誉の死を果たせなかったふたりの男が、忠義を貫き私心を捨て、自らに課された使命を全うするべく生き抜いた過酷な人生を紐解く。
作品情報
- 監督:杉田成道
- 原作:池宮彰一郎「最後の忠臣蔵」
- 製作総指揮:ウィリアム・アイアトン
- 出演:役所広司/佐藤浩市/片岡仁左衛門/桜庭ななみ/安田成美/山本耕史/田中邦衛
- 公開年:2010年
感想
原作は未読。この作品は、見る人をちょっと選ぶ作品かもしれないですね…
忠臣蔵の討ち入り直前に逃亡した瀬尾孫左衛門(役所広司)と、討ち入り後に逃亡したと言われてる寺坂吉右衛門(佐藤浩市) の2人の、討ち入りから16年後の物語。
「最後の忠臣蔵」というだけあって、忠臣蔵の後日談的なお話であり、やはり最低限「忠臣蔵」は知っている必要はあります。これを見ることで「忠臣蔵」がわかる、という映画ではないです。
後は、当時の武士道、というか、儒教的忠義心も知っていないと、現代の価値観で見てしまうと、否定的な感想になってしまう人もいるでしょう。
それと、想像力も必要になってくるんですね。
本来だったら死んでいるはずの2人。瀬尾孫左衛門(役所広司)と寺坂吉右衛門(佐藤浩市)がどんな思いで16年間生きていたのか。その描写はほんの少ししかされていなく、多くは(ほとんどは)想像で補わないといけません。そういうところも「忠臣蔵」と「江戸時代」を知っていないと想像することすら難しいです。
また、合間合間に曽根崎心中の人形浄瑠璃が入っていて、それで登場人物の心情をイメージさせているのでしょうけれど、「曽根崎心中」などはかなり歴史や伝統芸能が好きな人じゃないと中高年でも知らない人は多いと思われます。かく言う私も wikipediaで読むあらすじ程度の知識しかないです。
といったことから、表面上の物語は複雑ではないものの、その背景や時代を知っていることが前提の物語でもありますので、エンターテイメント性は低く、人に勧めづらい作品ではあります。
なぜ、最後に、瀬尾孫左衛門(役所広司) が●●しなければならなかったのか。
私は、単に、忠義とか信念とかの言葉で片付けられるものではないと思うのですよ。
そこは、作中では説明などされていないので、孫左の心中は「想像」するしかなくて、そこが人によって解釈が違ってきて、深い余韻を残すことになります。