★★★☆
あらすじ
劇場清掃員として働くさえない中年男アンドレイ・フィリポフ(アレクセイ・グシュコブ)は、かつてはロシア・ボリショイ交響楽団で主席を務めた天才指揮者だった。彼は、共産主義時代、“ユダヤ主義者と人民の敵”と称されたユダヤ系の演奏家たち全員の排斥を拒絶し、名声の絶頂期に解雇されたのだった。
ある日、清掃中にアンドレイは、1枚のFAXを目にする。それは、演奏を取りやめたサンフランシスコ交響楽団の代わりに、パリのプレイエルに出演するオーケストラを2週間以内に見つけたいという内容だった。その瞬間、彼は、かつての仲間を集めて偽のオーケストラを結成、ボリショイ交響楽団代表としてパリに乗り込むことを思いつく。
作品情報
- 監督:ラデュ・ミヘイレアニュ
- 公開年:2009年
- 上映時間:119分
- 製作国:フランス
感想
主人公はロシアで過去指揮者をしていた男性であり、30年前に政治的な理由で楽団を解雇させられた、という経歴をもっています。
実際の所、ロシアや当時ソ連時代の共産党などの歴史的知識がないと、ちょっとよくわからないところはでてきますね。ただまぁ、細かいところは分からなくても、ざっくりとなんとなくは分かりますので、大きな問題はないかなとは思います。
あと、オーケストラを成り代わってパリで公演するという設定自体がかなり無理がありますので、前半から中盤にかけてはコメディ的な感じの部分もたくさんあるのですが、これも現在のロシアの風習とかよく知らない日本人には、笑い所がわからない、という部分は感じます。
しかし、ラストのオーケストラの演奏シーンは、ただでさえ音楽は人を感動させるのに、それにストーリーが加わってくるので、より感動が染み渡ります。
少々「奇跡」というものに頼ってしまって、リアリティは低くなってしまったところはあるのですけれど、最後の演奏シーンだけで、それまでのマイナス部分をひっくり返すだけの魅力がありますね。